Cache'/CyberFrameworkによる蓄積情報利用システム

 

 

鈴木 利明
日本ダイナシステム株式会社

 


1. 概要

病院情報システム(電子カルテ)で発生したデータを、学術研究、教育、診療支援、病院経営などに役立てるためのシステムが望まれるところであるが、従来、特定の施設にしか通用しない利用システムの開発を行い、結果として他の施設では利用できないという問題があった。すなわち、後利用系システムがローカルシステムに対してあまりにも密結合で、オープンな切り口を持たないという問題点を抱えていた。しかし、この数年の XMLによるデータ構造の標準化によって、この種のシステムはオープン化が可能となった。本システムは、XML/CSVによる入出力インターフェイスを備えたデータベースシステム(Cache', InterSystems Co. Ltd./日本ダイナシステム株式会社)にグラフィカルオブジェクトプログラミング環境(Cyber Framework, 株式会社サイバー・ラボ)を結合させた、非常に自由度の高い検索システム開発環境で、入出力フォーマットとしては、MML(診療録), CLAIM(医事), FAIR(病院経営分析)などをサポートする。組み合わせる医療情報システムが、上記フォーマットの出力インターフェイスを装備しさえすれば、あらゆるシステムにアドオン可能で、後利用系システムとしての利用が期待される。今回のデモでは、医事システムから抽出した収入データ、病院情報システムから抽出した病名、処方歴、入退院歴などの基礎データを様々な角度から検索するもので、一行のSQL文を書くこともなく、高度な検索アプリケーションを作成できることを提示する。

 

2. システム

デモシステムの構成
ハードウェア(含むOS環境など)
IBM ThinkPad 600E, 288MbyteRAM, WindowsNT4.0 SP5
ソフトウェア
Cache' 3.2.1
CyberFramework
アプリケーション
XMLデータベースを分析用のCache' SQLデータベースへ変換するアプリケーションを作成し、CyberFrameworkを使って分析をしている。
Cache' SQLデータベースとCyberFrameworkの間はODBC接続を用いた。
データ:病床数600クラス病院を想定した約3ヶ月分の医事データ(今回はCSVフォーマット、130MB/月×3月)を対象とした。

 

3. 結果

データベースへのデータ取りこみ(CSV⇒XML⇒SQL DB)
Cache' アプリケーションを用いてDBへの取りこみを行った。取りこみに要した時間は約4時間。
検索分析プログラム作成をCyberFramework環境を用いて作成した。

 

図の解説


図1 CyberFrameworkのプログラム(図3用)


図2 CyberFrameworkの検索条件指定画面(図3用一部)
IDC9の151コード(胃癌)の指定、診療科コード、患者ID範囲を指定している様子。


図3 分析結果 Excel画面
胃癌患者(3ヶ月間の内に30日以上医療費を支払った患者)を、手術日を軸にして
(重ねあわせて)費用区分を積算した結果をExcelで積み重ね棒グラフに表示(図3)。

 

4.連絡先

鈴木 利明

日本ダイナシステム株式会社
〒460-0007 愛知県名古屋市中区新栄2-1-9 雲竜ビル東館5F
Tel:052-242-5441 Fax:052-242-5984
E-Mail; tsuzuki@jdynasys.co.jp

 

加藤 康之

株式会社 サイバー・ラボ
〒319-1106 茨城県那珂郡東海村白方白根162
Tel:029-270-4600 Fax:029-270-4601
E-Mail; kato@cyberlab.co.jp