電子カルテの総合情報ファイル化

電子カルテWINEの場合

佐藤病院 高橋 究

佐藤病院では電子カルテWINEを1992年から使用してきた。1996年から全科(外科、内科、整形外科、小児科、産婦人科)で使用してきた。カルテは医師が利用するだけではなく、パラメディカルスタッフの仕事の上でも情報の宝庫である。書き込みを行うのが医師だけという現状を突破して院内全体の患者情報の格納場所として、電子カルテWINEのデータベースを利用する試みを行っているのでここで報告する。
  1. データベース
    データベースは電子カルテで使用しているものを利用し、院内のセクションによって識別されるattributeに格納される。格納されるデータには、記録者の情報、書き込み時間が同時に記録される。
  2. データの参照と記入
    データの参照、記入は電子カルテソフトとWebブラウザの両方から行うことができる。
  3. セキュリティー
    ユーザの認証は電子カルテのユーザ登録ファイルにより行い、ユーザのレベルにより参照、記録の権限を個別に指定している。
  4. Web出力の方法
    電子カルテWINEはWebObjectsFramework(WOF 4.5)でプログラムが作成されている。これは、リレーショナルDBをオブジェクトとしてうまく扱うことのできる環境で、フレームワークを構築することにより、階層化されたプログラム群を効率良く再利用することもできる環境である。基本的なデータアクセス部分をWebObjectsとしてオブジェクトプログラミングされたCGIでWebブラウザとのやりとりを行う。基本的なフレームワークが完備しているのでcgiのプログラムは極めて容易である。
    また、このページは、院内のイントラネット上で運用され、外部からは参照不可能である。
  5. 利用例
    • 外来総合案内での運用
      オペレータは看護部長で、患者様の案内の上に必要な情報を総合受付設置のノートPCで参照する。
    • 各種レポート類のアップロード
      放射線科の画像診断レポートの写しとして利用
    • 在宅看護の記録
    • ソシャルワーカの記録
    • 医事課の記録
    • 放射線フィルム管理の記録
    • リハビリ記録
  6. 利点
    電子カルテによる診療は、発生するデータを効率良く登録していく必要があるので高度なユーザインターフェースを必要とする。しかし、院内のセクションの中には、Webブラウザからの入力でも可能な所も多く存在する。院内のLANにつながった別の目的に設置されているコンピュータもWebブラウザからのアクセスが可能なのでコスト効率より院内の情報化が行える。
  7. 欠点、簡単に参照できることは、セキュリティーの面では問題である。ユーザの個別管理に加え、ユーザの参照したファイルのログを残す必要が生じている。
  8. 今後の目標ならびに準備段階のもの
    • メイルインターフェース
      この機能により、登録された患者様自身が自分の症状などをメイルで特定アドレスに送ることにより、自分のカルテの患者記録欄に書き込むことができる。
    • Cyber Frameworkを使用した統計処理などのアプリケーションの作成