分科会レポート
医療のインフラに今なにをやるべきか
コーデイネータ 大橋 克洋
1996.5.18 SeaGaia meeting
外部との接続について
外部(別の施設など)と情報のやりとりをするには、以下のようなものについての「お約束」が必要であろう。
- データをパッケージ化して転送するための仕様
- 転送されたデータを識別するためのラベル名
- パッケージの転送方法
内部でのデータ転送方法について
内部(すなわち自分の施設内)でのデータの取り扱いについては、原則的にまったく自由でかまわない。
ユーザインタフェースについて
ユーザインターフェースはインフラの定義には入らないかもしれないが、エンドユーザにとってデータの転送方法などはどうでもよい。目の前で操作するものこそが全てであるから、広義のインフラに入れてもよいであろう。
以上のような問題提起のもとに分科会を始めたが、「インフラ」というタイトルは余りにも範囲が広すぎるということで
カルテの電子化に何を求めるか
というタイトルに改めデイスカッションが行われた。出された意見の概要は以下のようなものである。
電子カルテのメリットにはどんなものが考えられるか
- 関連づけ
- リトリーブ(再利用)できる
- ネットワークにより何処でも、誰とでも共同作業できる
- 自動処理ができる
- データの蓄積
- 再利用
- 履歴(患者の../診療行為者の..)の保管
- 重複を避ける(ダブルチェックができる)
- 医療に関するノウハウを蓄積し共同利用できる
- 様々な視点とそれによる観察の記録
議論
分科会での議論について同じ種類のものをまとめて整理しましたので、発言順序などは多少変わっています。
看護記録などの電子カルテへの取り込みについて
- 看護記録の方が詳細なのでメリットは大きい。
- 看護婦の方がチームで動いているので説得しにくい。
- 特に年配の看護婦からの反発が大きい。
- どうやって使ってもらうか。
動機づけができるか?
医師への動機付けとは異なるアプローチが必要?
- 「使って見たら便利」であることが必要。
- コンピュータ・リテラシーについては時間が解決する。
現場を説得するには実際に動くものを見せるのが良い
- しかし未完成のものを見せるのは逆効化になることがある
診療科を越えた「一患者一カルテ」での公開について
- 現場ではなぜオープンにしたがらないか。
- そういう習慣がなかったから。
- 自分のカルテに自信がないから。
- 最初はそうであっても他人のものから勉強できるメリットも大きい。
- カルテというものは途中経過を記述することが多く、 その時点ではあくまでも不完全なものであるから、 一般公開した場合に医事紛争などにつながるおそれもある。
- 医師のセキュリティも保護されるべき対象である。 それは適正診療の監査とは別問題(どちらも必要)
電子カルテのインターネット対応によるメリットについて
- 共同研究ができるメリット。
- 一人の患者の状態をフォローアップできる。
- しかし患者にとって、ずっと追っかけられるのは迷惑なこともある。
- 患者情報を別の医師が見るには認証が必要。
- 電子カルテは業務支援にはなるが、診療支援になるのか。
- 症例公開はよいが患者個人を特定できる情報公開は不可。
- 視点は医師だけのものであってはならない。
SeaGaia meeting 1996.5.17..1996.5.19
update:1996.5.21 by ohashi@ocean.linc.or.jp