はじめに
日本光電は従来より、汎用のワークステーションを用いた患者データマネージメントシステムを開発、販売してきました。これらのシステムは、麻酔記録システム(手術室)、熱型表システム(ICU)、不整脈管理システム(CCU)、看護支援システム(一般病棟)と多岐にわたり、それぞれの部門のユーザニーズに適した形で設計されてきました。しかしながら、院内各部門における患者管理体型の違い、データの質の違い等によりそれらを横に貫いた、いわゆるトータルな意味での「患者データ管理システム」をご提供するまでには、至りませんでした。 昨今の院内イントラネット、ひいては電子カルテといった世間の流れを鑑み、日本光電としては今まで臨床の場で培った経験を生かしつつ、再度われわれなりに「患者データ」を中心に据えたシステムを再構築いたしましたので、この場で発表させていただきます。
システム構成
日本光電製クリニカルネットワークシステムは、患者データの収集、管理、保持、保存、及び患者自体の入退室、移動の管理を司るサーバと、実際にユーザーからの操作を受け持つUI(UserInterface)の2つのシステムから構成されます。 サーバ部は手術室、ICU、一般病棟といった各部門毎に設置されたUNIXワークステーション上で動作します。各部門に設置されたサーバは自信が管理する患者データを、院内で共通に付与される患者IDをキーとして互いにバーチャル・データベースという機能を通じて連携し、ユーザーが参照したい特定の患者が前後にどの部門で管理されていたか(入室していたか)ということを意識することなく、引き出すことができます。また、院内にすでに導入されている他社製システム(医事会計、オーダエントリ、画像ファイリング等)とも、業界標準言語(プロトコル)であるMML(MedicalMark-upLanguage)等によって連携することが可能です。システム全体はSNMP(SimpleNetwork ManagementProtocol)によって監視され、トラブル発生の事前予測を可能な限り弊社のシステムサポート部門で把握する事ができ、システムダウン等の最悪の事態を未然に防ぐ体制も整えました。 一方、ユーザ操作を受け持つUI部はオブジェクト志向型ネットワーク言語であるJAVATMで開発され、マルチベンダ、マルチプラットフォーム、マルチOS環境を実現しています。従って、ユーザーは好みの環境(PC、Mac、UNIX等)を選択することができ、例えばすでに院内にオーダエントリ端末としてPCが導入されている場合にはその端末上で動作させることが可能です。 サーバ・UI間の通信はすべてTCP/IP上で行われ、プロトコルにはHTTP(HyperText TransferProtocol)を採用しています。従って、先に述べたほかシステムからURL情報の提供が有れば、簡単に本システムのUI上でブラウズする事ができます。また、各UI用のアプリケーションはサーバ部よりMarimbaTM社のプッシュテクノロジであるCastanetTMによって配信されるため、システム全体のバージョンアップ等も容易にできる環境を提供しています。
おわりに
日本光電は、患者データ管理システム(院内イントラネット)を構築するにあたり、はじめに「コンピュータありき」ではなく、「患者(データ)ありき」のシステム構築をめざしていきたいと考えております。ME専業メーカとしてスタートした弊社がこの分野でのビジネスを展開するにあたり、私どもにとってのユーザである先生方からご見識あるアドバイスを受けられれば何よりの糧と考えております。
目次 | 作成者 :竹内麻理子 |