電子カルテEChartのご紹介

 

嶋 芳成
日本ダイナシステム株式会社


[1] はじめに

 当システムは、小嶌診療所の小嶌先生、株式会社リコーおよび日本ダイナシステム株式会社が共同で開発したもので、1995年より小嶌診療所の他3診療所でご利用いただいています。第1回シ−ガイア・ミーティングでは、小嶌先生からご紹介いただきました。

 

[2] 現在のシステム構成

 当初、Windows 3.1上で開発したシステムで、現在は Windows95/98でも稼働します。システム構成は<図1>の通りです。

 

[3] 特徴

このシステムの特徴は次の通りです。

  1. 所見等の叙述的な情報(文章情報)を中心に扱います。
  2. 入力支援のために、定型入力の機能はありますが、あくまで基本は文章情報です。
  3. 文章情報を「背景情報」「身体所見」「検査所見」などの種類に分類することができます。分類しなくても構いません。
  4. 文章情報を行単位で、問題(problem)とリンクすることができます。このとき同一行を複数の問題にリンクすることもできます。(<図2>参照)
  5. 文章情報を表示するときに、情報の種類、またはリンクされた問題で絞り込んで表示することができます。
  6. 問題の管理機能として、ある問題が別の問題に変化した場合に、その関係を保持することができます。
  7. 検査センターからのデータ取り込みと検査値の表参照機能があります。
  8. 医事会計、指示入力の機能は含まれていないので、他社の医事会計システムなどと組み合わせて運用します。

 このシステムは、カルテの文章情報はどのように管理すべきか、という一点に焦点を当てて設計開発したものです。従って、医事会計、指示入力などの機能は他のシステムと組み合わせて利用することが前提となっています。今のところ画像を扱う機能もありません。

 

 一方、文章情報については、その種類と問題点のリンクという2つの軸で整理することができ、一種のハイパーテキストとなっています。そして、この2つの軸をもとに、表示内容を絞り込むことができます。例えば高血圧症にリンクされた身体所見だけを表示させて患者の変化を把握したり、投薬情報のみを表示させて必要な投薬歴を探し出すのに役立ちます。

重要なことは、このハイパーテキスト機能は利用してもしなくても構わないことです。利用しなければ、単に無構造な文章情報として格納されるだけです。日常診療の中で、特に管理の必要と思われる患者さんにのみ複雑なリンクを作るといった運用ができます。

 

[4] 今後の見通し

 従来のシステムは16ビットアプリケーションであるため、これを32ビットアプリケーションに移行する作業を現在すすめています。データベースエンジンは、DTMからCache'(キャッシェ−)バ−ジョン3.1に変更し、それに伴って、ネットワークはNetbiosベースからTCP/IPベースに変わります。この結果、処理速度や安定性が上がることが期待されます。新システムの構成は<図3>の通りです。

 この改訂に合わせ、ユーザーからの改良要望を検討中です。現在のところ、

1) 記録の改ざん防止を強化する。

2) 代行入力機能を追加する。

3) 情報の分類と問題指向システムの S、O、A、P の対応を強化する。

4) 画像情報を扱えるようにする。

5) 操作方法を細かい点で改良する。

 

などの要望が上がっています。その他、外部との連携のために、MMLとのインターフェースを装備することも予定しています。

 

以上