MMLベースの退院サマリーデータベースシステム

 

坂井 均也
CAIシステム株式会社


1.はじめに

CAIシステム(株)はXMLデータのデータベースシステムへの活用として山口県文化財データベース(http://www1.dayi.or.jp/daml/)を「NPOデジタル・アーカイブやまぐち」のメンバーとして開発した。このデータベースのDTD構造は骨格的にMMLに近いので、今回MMLベースの退院サマリーデータベースへの応用を始めている。ここでその報告をする。特徴としては、病院内の現在稼動しているシステム(オーダリング、電子カルテetc.)の端末から直接入力するシステムではなく、ネットワーク上のパソコンから入力できるアプリケーションとなっている。退院サマリーを入力する場合、現在稼動しているシステムから患者基本情報と、さらにサマリーとして必要な情報を、できるだけ入力を少なくするための編集機能を使って受け取り、その後退院サマリー部分を入力する方式とした。データベースは基幹データベースと別に構築するが、内容参照はネットワーク上であれば端末からもWebで検索・表示できる。

 

2.システムの概要

まず病院情報システムやオーダリングシステムから患者基本情報を、a)MMLとして受け取る、b)クエリーを出して受け取る、c)CSVファイルとして受け取る、などいろいろと考えられるが、a)、b)の方法は病院情報システムに依存する部分が大きいため、今回はc)CSVファイルとして受け取る方法を採用した。必要な項目(患者情報、病名、検査情報、etc)を中間データベースにとり込み、退院サマリーを生成するアプリケーションにおいてその情報を編集、追加、変更する。生成したサマリーはMMLインスタンスに変換しパーシングした後データベースに取り込まれる。Web参照系は基本的にHTMLで表示させるのでプラットフォームを問わない。表示・印刷を重視する場合は少しコストはかかるがJetFormを採用することもできる。データベースはポストリレーショナル系のCacheを用いた。


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3.山口県文化財データベースの概要

このシステムのベースとなる山口県文化財データベースの概要について述べる。XMLの文化財規格としてDAML(Digital Archives Markup Language)を策定したが、もともとMMLを参考に開発しているためMMLと相性がいい。文化財のデータベースを作るにあたり、紙ベースで現存している山口県の文化財の要録を取り込みながら、教育、観光などをその利用目的として作成したものである。


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システムは図の通りであるが、前述の退院サマリーデータベースはこれを核にして制作している。


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4.入力フォームと印刷フォーム

山口県文化財データベースにおいては、入力フォームは限られた範囲の使用としたために一つのフォームでよかったが、これに対し退院サマリーを記述する場合は複数のフォームが要求される点が異なる。また印刷フォームにについても山口県文化財データベースの場合はWebの印刷機能で事足りた。退院サマリーデータベースの場合に、もっと帳票印刷程度の精度を要求される場合もあると考え、その場合はJetForm等の利用も考慮した。

 

5.おわりに

このシステムの特徴をまとめる。

  1. 病院情報システムやオーダリングシステムから患者基本情報をa)MMLとして受け取る、b)CSVファイルとして受け取る、c)クエリーを出して受け取ることで二重入力を避ける。
  2. データの作成時には、受け取った情報のなかで必要のないデータについては取捨選択入力ができ、その後退院サマリーを記述するので時間の節約ができる。
  3. 基幹端末ではなく一般パソコンで退院サマリー部分を書きこむことができる。
  4. データ構成はMMLに準拠している。
  5. リレーショナル型ではないデータベース(Cache)を利用することで階層型のXMLデータと相性がいい。
  6. 類似データベース(山口県文化財データベース 9階層)でシステム骨格は実証済み。
  7. 比較的コストが安い。