1. はじめに
当院は,1999年12月に新築移転し,同時に電子カルテに全面移行し,今日まで多少のトラブルはあったが,円滑に運用を継続してきた.当院の電子カルテの特徴は「使いやすさ」を強調したPDFファイルを使った電子カルテシステムである.このシステムをさらに進化させるため,現在EBMへの取り組みを行っており,診療記録,レポート,病名,オーダー,検査,看護記録などをXML形式で出力したXMLファイルを集めたサーバー(EBMサーバー)の構築を進めている.今回は,システムの構成及びその手法について報告する.
2. システム詳細
各システムからXMLファイルを図1のような命名規約に従い命名し,所定の監視フォルダーに出力する.このようにファイル名を命名するのは,同じ名前のファイルが存在しないようにするためである.また書類コードは,表1のように取り決めている.
図1 ファイル命名規約
このデータを図2に示すようにクライアント上のXML送信プログラムでサーバー上の監視フォルダーに移動し,命名規約に従いXML振分けアプリケーションで所定のフォルダーに移動する.
表1 書類コードの例
区分 | 書類コード | 書類名 | 格納フォルダー |
A群 | AA | 医師プロブレムリスト(外来) | 外来医師プロブレムリスト |
AI | 問診表 | レポート書類 | |
B群 | BA | 胸部レントゲンレポート | レポート書類 |
BF | 注腸レポート | レポート書類 | |
BJ | 造影剤検査同意書 | レポート書類 | |
C群 | CA | CTレポート | レポート書類 |
L群 | LJ | 入院ワークシート | オーダー書類(入院) |
M群 | MA | 外来オーダーテーブル | オーダー書類(外来) |
O群 | OT | 入院誓約書 | その他(入院) |
移動したXMLファイルの中身を電子カルテから参照したり,Webで見せたりすることが可能になっている.
3.現状の報告
現状ではファイルメーカーProによるレポートシステムからのXMLを生成し,所定のフォルダーにXMLファイルが格納されることが確認できた.そして,電子カルテ端末からXMLファイルの内容を参照することに成功した.
4. 将来の計画
現在は,ファイルメーカーProによるレポートシステムからのみ成功しているが,今後診療記録,検査結果,オーダーなどのXML出力を進めていく予定である.
図2 XMLサーバーフォルダー構成(クリックで拡大)