Seagaia meeting 2021 Online

-パンデミック時代のEHR-


 

COVID-19のパンデミックにより社会は大きな影響を受けました。世界での感染者数は1億人を超え、死亡者も200万人以上と今世紀最大級の災害となりました。 日本でも感染者数の増加に伴い医療資源が逼迫し、緊急事態宣言が2度発令されました。 感染の対策としてテレワークの推進や遠隔会議システムの導入などデジタル化が進む一方で、国や地方自治体のIT化の遅れもまた問題となっています。このようなパンデミックに対応できる情報システムを構築することは喫緊の課題であり、次の災害への備えでもあります。 今回は「パンデミック時代のEHR」をテーマとして、EHRのあるべきについてさまざまな方法から検討することとしました。皆様のご参加をお待ちしております。
NPO MedXMLコンソーシアム理事長 小林慎治

会議概要



会議名 : Seagaia meeting 2021 Online

テーマ : パンデミック時代のEHR

日 時 : 2021年5月28日(金)13:00~1700

会 場 : Zoomを利用したオンライン開催

定 員 : 200名程度

参加費用: 無料

 

ご参加ありがとうございました



seagaia meeting 2021 onlineは終了しました。

多数のご参加ありがとうございました。 

 

  

プログラム(最終版)



 入室開始は12:45からです。

 

13:00~13:05 開会のご挨拶およびご案内

 MedXMLコンソーシアム理事 吉原博幸

13:05~13:15

パンデミック時代のEHR

MedXMLコンソーシアム理事長  小林 慎治

 新型コロナウイルス感染症がパンデミックとなり、1年あまりが経過した。日本では3回の緊急事態宣言を経るほどの被害が拡大した。大規模なワクチン接種での終息に期待が寄せられているが、予断を許さない状況が続いている。今回のパンデミックでは、行政や病院のデジタル化の遅れもまたうきぼりとなった。今回のパンデミックを終息させ、次に起こるパンデミックに対策するため現状の問題点と対策について議論したい。

 

13:15~13:45

次世代医療基盤法における医療データの二次利用:法制度を中心に

内閣府 健康・医療戦略推進事務局 加藤 隆行

医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(平成29年法律第28号)(略称「次世代医療基盤法」)は、医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関し、匿名加工医療情報作成事業を行う者の認定、医療情報及び匿名加工医療情報等の取扱いに関する規制等を定めることにより、健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出を促進し、もって健康長寿社会の形成に資することを目的として、平成29年5月に公布、平成30年5月に施行されました。この次世代医療基盤法は、医療機関や地方公共団体などが保有する医療情報をビッグデータとし、匿名加工医療情報の利活用を通じた研究開発の成果として現場に還元することで、未来の医療の進歩や健康づくりにつなげるための法律です。

私たちが病気やケガなどで医療機関を受診すると、検査の結果や薬の種類などさまざまな医療情報が記録されますが、このような医療情報は、日々全国各地で蓄積されています。これらを集約し統合したものが医療ビッグデータとなりますが、今、ビッグデータの解析性能が向上したことを背景に、医療分野のさまざまな研究開発に医療ビッグデータを活用することが期待されているほか、個人の運動や食事等の日常生活に関するデータにも注目が集まっています。しかし、これまで大量の医療情報を効率的に集約して利活用する仕組みがありませんでした。

この法律によって、自らの医療情報の提供という「一人ひとりの参加」が医療ビッグデータの土台となり、国が認定した事業者が、そのデータを一定の要件を満たすオプトアウト(あらかじめ通知を受けた本人又はその遺族が停止を求めないこと)により「集めて」、個人を特定できないよう匿名加工した上で医療分野の研究開発のために利活用できるように「つなぐ」ことで、「みんなの恩恵」に結び付くことをめざしています。

発表資料 1.6MB

 次世代医療基盤法 制度解説 

13:50~14:20 

LDIによる二次利用:現状とこれから

認定受託事業者NTTデータ 西田 陽介

 NTTデータは次世代医療基盤法認定事業者であるライフデータイニシアティブの「認定医療情報等取扱受託事業者」の位置づけであり、2019年12月19日、ライフデータイニシアティブの「認定匿名加工医療情報作成事業者」取得に伴い認定された。 

認定匿名加工医療情報作成事業者であるライフデータイニシアティブが匿名加工医療情報作成にあたり、法で定める管理業務や利用目的等の審査を行いその結果を基にNTTデータは匿名加工医療情報を作成する業務やシステムの維持運用を行う。 この匿名加工においてNTTデータは「認定医療情報等取扱受託事業者」として厳密かつSecureなデータ管理体制を敷き広範に事業運用する。本セッションでは認定受託事業者としての事業概要と、現行のデータ規模、想定される利活用方法などについて解説する。また次世代医療基盤法について現場から見えた課題と期待を述べる。

発表資料 2.7MB

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14:25~15:15 

千年カルテのEHR/PHR戦略と1.5次利用サービス

(一社)ライフデータイニシアティブ 代表理事 吉原 博幸

 2019年12月19日に次世代医療基盤法により(一社)ライフデータイニシアティブ(LDI)が日本で第1号の「認定匿名加工医療情報作成事業者」に認定された。EHRの研究は1995年から始まっており、2002年から宮崎、京都などで実運用を続けていた地域EHRを、2015年、政府の次世代医療ICT基盤協議会のもと、全国版として再開発したのが「千年カルテ」である。蓄積された医療情報の2次利用による医学研究の加速、医療の質向上を図る。千年カルテでは、医療機関や患者へのサービスを次のように分類している。【ゼロ次利用】電子カルテのデータのバックアップ。【1次利用】EHR:患者や医師等によるデータ共有【1.5次利用】EHRの実名医療データを活用した多様なサービス。例えば、EHR上の医療データを人工知能が分析し医療上のリスクを予測する(異常値の発見、感染症の流行予知など)、病院の経営分析。【2次利用】LDIが作成する匿名加工医療情報を使って、研究者・企業が研究・開発・調査に役立てる。長期間に渡るEHR・PHR、二次利用の取り組みで、様々な解決すべき課題が浮き彫りになっており、これらは国家的政治・行政課題でもある。

 発表資料 4.2MB

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日本医療ネットワーク協会 理事  荒木 賢二

 千年カルテは、日本医療ネットワーク協会が実施するEHRなどの1次利用と、LDIが実施する臨床研究などの2次利用の2つのサービスがあるが、1次利用と2次利用を組み合わせた1.5次利用サービスも準備している。具体的には、人工知能を用いた診療アラート、治験の患者探索サービス、病院の経営分析などである。これらについて解説を行う。

発表資料 1.3MB

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15:15~15:25 休憩

 

15:25~15:55 

コロナ禍においてECMOnetの果たした役割 -(CRISIS)を用いた全国のCOVID-19重症者の把握とその活用-

京都府立医科大学附属病院集中治療部 部長・病院教授 橋本 悟

 我が国でCOVID-19患者における死者が発生する前の2020年2月はじめに日本集中治療医学会、日本救急医学会、日本呼吸療法医学会の有志60名余りが集合し日本COVID-19対策ECMOne(以下ECMOnet)tが結成された。ECMOnetの事業は大きく二つに分けることができる。

一つはCOVID-19重症肺炎患者の人工呼吸管理/ECMO管理について全国の医療施設に対する24時間電話相談窓口と各施設に対するサポート体制の確立、そしてもう一つは今後集積するであろう重症者のデータベースを構築である。このデータベースCRISIS(横断的ICU情報探索システム, CRoss Icu Searchable Information System)は日本集中治療医学会専門医認定施設、日本救急医学会救急科専門医指定施設を中心に全国の700以上の施設に呼びかけを行い、2020年2月15日から運用を開始、7月までに600施設以上(日本のICUベッドのほぼ80%)の参画を得られた。

4月末にはダッシュボードの公開を行い、それ以来、他に類をみない形でECMO患者、人工呼吸患者の実態を公開している。2021年4月末現在それぞれ600例、4500例(あわせて5100例)を越えるECMOおよび人工呼吸症例を集積している。このデータを元に日本COVID-19対策ECMOnetはECMOが必要な患者について適切な施設への患者搬送、アドバイス、講習会などを実施し臨床に貢献している。本公演ではこれらECOnetのこれまでの活動について概括させていただく。

発表資料 5.8MB

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16:00~16:30

COVID-19とシビックテック

一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表理事 関 治之

COVID-19 という世界規模の災害への対応において、日本は必要な情報をタイムリーに伝達することができず、情報収集や現場の支援、国民への情報提供、給付金の振り込み、といった領域で後手に回ってしまうこととなりました。 これまで自治体単位で考えることが前提でアナログに最適化された業務や、個人情報に関する複雑なルールなどが原因となり、「データ連携」という新たな課題に対応することができず苦しんでいます。 

そんななか、市民コミュニティの力で全国にわずか数週間で普及した情報共有サイトが、東京都が公開している「新型コロナ感染症対策サイト」です。 このサイトは、「オープンソース」「オープンデータ」「市民開発者との協働」によって、東京都のみならず全国規模で正しい情報を伝えることに貢献しました。 このような事例を含め、市民と自治体、組織がオープンに課題を解決する取り組み「シビックテック」の広がりについてご紹介をさせていただきます。 

発表資料 9.3MB

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16:35~17:00

質疑応答

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17:00 

閉会のご挨拶

MeXMLコンソーシアム理事長 小林慎治